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「京都府・京都市に有効なヘイトスピーチ対策の推進を求める会」への呼びかけ

 

 今、日本各地で「ヘイトスピーチ」などとよばれる人種差別行為が繰り返されています。なかには、刑法上の犯罪となる「ヘイトクライム」にまでエスカレートするものもあります。2009年12月に京都で引き起こされてしまった朝鮮学校への排外主義団体による襲撃は、まさにヘイトクライムというべき事件でした。その後、この事件は、民事裁判の場で人種差別と認定されました。この画期的な判決は、日本中の被害者や心ある人々を勇気づけ、また国外でも広く報じられました。

 しかしながらこの判決は、被害当事者や関係者が、事件から5年もかけて苦難の末にようやく勝ち得たものです。しかも事件後も、排外主義団体などによる人種差別行為が繰り返され、今もなお多くの被害者が声も上げられずにいます。ヘイトスピーチは、名指された当事者を長年にわたって苦しめる暴力であり、平等を目指す憲法の理念に反する社会的な害悪です。にもかかわらず、日本では人種差別被害の実態すら把握されておらず、行政・司法・立法のどの面からしても、その対策は不十分です。

 このような状況において、まず日本政府が積極的な対策を早急に講ずるべきであることは言うまでもありません。しかしながら、さまざまな出身の住民を多数抱える地方自治体にもまた、地域に根ざした有効な対策を率先して講ずる責務があります。とりわけ朝鮮学校への襲撃事件を発生させてしまった京都、人種差別に対抗する市民の力が結集された裁判支援運動の中心ともなった京都には、特別な責務が課されています。

 そこで私たちは市民の皆さんに、京都府・京都市に対して、ヘイトスピーチなどの人種差別を無くすための有効な対策を求める運動を、ともに進めていくことを呼びかけます。

 人種差別的な暴力を許さない社会をつくるために取り組むべきことは数多くあり、簡単に解決できるものではありません。同じ方向を目指していても、考え方や意見が異なる場合もあるでしょう。長い時間をかけて醸成されてきた差別や歴史認識、人権意識などに関わるこの問題は、それほどに根深く重いものです。そうした問題に正面から向き合うためには、被害を受けた方々やマイノリティの経験を受け止めながら、私たちのあいだで、また行政とも、しっかり対話を重ねていく必要があります。

 2015年は、日本が敗戦し植民地が解放されてから70年、日本が人種差別撤廃条約を批准して20年にあたる年です。私たちは、自治体への働きかけを進めながら、市民の力によって、人種差別のない京都をつくることを目指すとともに、その取り組みを京都から全国へ、世界へと発信していきたいと思います。そのために市民の皆さんに、この運動に賛同し、ともに取り組んでくださいますよう、広く呼びかけます。

2015年1月

 

活動の概要

【会の名称】京都府・京都市に有効なヘイトスピーチ対策の推進を求める会 (仮称)

【用語の解説】日本が批准している人種差別撤廃条約は、人種差別を、「人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するもの」と定義しています。さまざまな形態の人種差別のなかでも、こうした目的・効果を持つ表現行為を「ヘイトスピーチ」と呼びますが、このなかには現行の刑法上の犯罪行為にまで至り、警察捜査や訴追対象とされるような「ヘイトクライム」となるものもあります。ただし、「ヘイトスピーチ」という用語がより一般に知られていることもあり、この運動では、総称として「ヘイトスピーチ」という言葉を用います。

 京都朝鮮初級学校の襲撃事件は、刑事裁判でも加害者側の有罪判決が確定しており、その意味でヘイトクライムに属します。残念ながら刑事裁判では人種差別という論点が考慮に入れられませんでしたが、民事裁判判決(2014年12月確定)ではその問題が正面から扱われました。

【取り組み】私たちは、ヘイトスピーチ対策に関連して、以下のような取り組みをおこなっていきます。

1) 京都府・京都市に対する署名活動の実施。

2) 自治体の関連組織(府、市、警察、教育委員会、議会等)への働きかけや意見交換会の実施。

3) 学習集会やシンポジウム等の開催。

4) 被害実態調査、政党アンケートなどの調査活動。

5) その他、必要な取り組み。

 

【組織】以下のような組織、運営体制で運動を進めていきます。

発起人:私たちは京都の朝鮮学校で起きた事件への取り組みを、この運動の出発点としています。

上瀧浩子(弁護士、朝鮮学校襲撃事件裁判弁護団)

​冨増四季(弁護士、朝鮮学校襲撃事件裁判弁護団

金 尚均(朝鮮学校保護者、朝鮮学校襲撃事件裁判を支援する会(こるむ)共同代表、龍谷大学教授)

板垣竜太(朝鮮学校と民族教育の発展をめざす会・京滋(こっぽんおり)共同代表、同志社大学教授)

世話人会:発起人、事務局等からなり、会の運営を担います。

呼びかけ人:運動を広げる呼びかけ(賛同人を募るなど)に貢献していただく方々です。個人(団体等の場合はその代表)をベースに募ります。

賛同人:京都に在住の方、京都に通勤・通学している方から幅広く賛同を募ります。

【運動の区切り】京都府・京都市が、評価するに足る施策を実施した段階で、報告集会等をおこない、その後の運動や組織のあり方を再構築することをもって、一つの区切りとします。

 

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